阿蘇のおばあちゃんちに飾っている日本の甲冑は大鎧(おおよろい)と呼ばれるものです。
この大鎧は平安時代の武士と共に、武将が着用した晴れの日の武装として、実用面とデザイン面において、独特に発展してきました。
当時の戦いは馬に乗って戦う様式でしたので、馬上で自由に動きつつ、落馬を避けるため、重厚な草摺(くさずり)をつけ、頭を守る兜には顔をおおう眉庇(まびさし)がついているなど、弓矢を防ぐため工夫がこらされています。
阿蘇のおばあちゃんちに飾っている兜は鎌倉時代に発展した星兜と呼ばれる形で、兜の前方に鍬形(くわがた)がつけられ、威厳を醸し出しています。
この鍬形は兜につける飾りで、「立物」と呼ばれています。兜の前に立てて装着するものが多く、「前立」と呼ばれる「鍬形」がこれにあたります。また、農機具の鍬の形ではなく、鹿の角をデフォルメしたデザインが起源だと言われています。この鍬形は鎌倉時代から南北朝時代にかけて、デザインが徐々に大きく太くなっていきますが、細くて長い鍬形は長鍬形、幅広い鍬形は大鍬形と呼ばれています。
阿蘇のおばあちゃんちには、この甲冑以外にも魔除けとして端午の節句(子どもの日)などに飾られる弓矢や槍など装飾品としての武具も飾っています。
日本では、子どもの日が近づくと兜や弓矢など武具を飾って子どもの成長を祝う習わしがあります。甲冑などの武具を飾ることで邪気をはらい、子どもの健やかな成長を祈るという家族の気持ちがこめられています
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